文芸翻訳検定協会設立にあたって――
 
 我が国にはこれまで、実務翻訳の検定は散見されましたが、文芸(出版)翻訳のまともな検定は存在しませんでした。
 理由は簡単、文芸翻訳はある意味、母国語を駆使する作家と同じ作業を行なうわけですから、その“力”をどのように検定すればよいか、方法論が確立していなかったからです。
 「翻訳者はあるテクストを時間と空間を超えて蘇らせる。原作との関係がいかなるものであれ、翻訳者はテクストを書き換え、常に新しい生命を付与する者」(ヴァルター・ベンヤミン)であり、「すぐれた翻訳は訳者の個性によって時空を超えて作り替えられる創作の一形態」(オスカー・ワイルド)であるとする文芸翻訳と、基本的には原意を正確に伝えることを第一義とする実務翻訳とでは、外国語を母国語に置き換えるという似たような作業を行ないながら、根っこのところで大きく異なっているのです。 
 英語→日本語の文芸翻訳の場合、英語力と日本語力のどちらが大切かと問われれば、日本語力ということになります。しかしながら、翻訳である以上、原語力が必須であることもまた事実です。英語力と日本語力は、車の両輪と言ってもいいでしょう。
 また、文芸翻訳家にとってきわめて必要なのは一般教養です。文芸翻訳家を目指す人は、自身の中にたくさんのアンテナを持ち、さまざまな“教養”を身につけなければなりません。それは言わば、車のハンドルのようなもので、あなたの行く先を決めるのはハンドルということになります。
 アクセルとブレーキ――それはあなたの“やる気”にほかなりません。進むも止まるもあなたしだいなのですから。
 本協会は、英語力と日本語力、そして一般教養をきちんとチエックできる検定を提供しようと決意しました。本検定の一級の資格を習得すれば、我が国のいずれの出版社もプロとして認めてくれるような、“権威”ある検定にしなければ意味がありません。
 五級と四級は四者択一の検定で、三級と二級には短文の翻訳実技が加わり、準一級、一級は長文翻訳+エッセイという形式になります。そしてエッセイの文章評価は作家の方々にお願いいたします。
 また、日本の各企業の社員(語学)研修にも利用していただける検定にしたいと考えております。
 皆々様のご支援とふるってのご参加を心よりお願いするしだいです。

文芸翻訳検定協会 審査委員長 山本光伸

事業の目的
 
 文芸翻訳検定を通して、文芸翻訳家志望者の裾野を広げ、文芸翻訳を勉強している方々、すでに翻訳を職業としている方々に自らのレベルをしっかりと認識してもらい、しかるべきレベルに達した方に仕事を提供できる環境を整える。

事業の内容
 文芸翻訳検定を通して、文芸翻訳に必要な英語読解力、日本語表現力、一般常識、調査能力を検定する。

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